2013年10月初旬。ドイツはライン川のほとりのリューデスハイム。
ワイン好きの人であれば知っているであろう、ここはドイツワインの一大産地だ。
とくにここで有名な品種は収量の最も多いリースリング。
フルーティーな香りと酸味が特徴の白ブドウである。
リューデスハイム周辺のラインガウ地方は、南向きの急斜面の丘が広がることで、
美味しいワインを作るためのブドウを生産するのに十分な日射量を受けることができる。
また、ライン川からの太陽光の反射も加わることで、「太陽の2度当たる場所」
とも呼ばれてきたように、古くからワインの好生産地となってきた。
そんなワイン産地が一段と活気づきはじめるのがこの9月下旬から10月にかけての季節。
丘一面のブドウ畑ではブドウの実が輝き始め、葉は少しずつ色づき始める。
街では昨年収穫されたブドウによる発酵途中のワインの新酒、
フェダーヴァイザー(独語:Feder Weisser=白い羽)が振る舞われ、
今年のブドウの収穫への期待も高まってくる。
Feder WeisserとZwiebel kuchen(玉ねぎのキッシュ)のセット
飲めるのは例年9月下旬から10月半ばころまで
ドイツといえばビールのイメージが強いが、この地方ではむしろワインのほうが好まれていて、
カフェでももっぱら昼間からワインを飲んでいる人の姿のほうが目につく。
ワインの地産池消の街。
日本の高いワインのイメージからするとなんともすごく贅沢な気がするが、
日本のように質の良い水を豊富に得ることができなかった古きヨーロッパでは、
ワインは保存できる水代わりに飲まれていたという話も聞く。
もちろん今ではそんなことはないのだが、
それでも日常に欠かせない飲み物であることには変わりがない。
ワインの格付けにはテーブルワインという位置づけもあるくらいだ。
ブドウの収穫作業には様々な地域・国からの労働者が携わることも多い
ところ変わればではあるけれど、もしかしたらこのリューデスハイムのブドウ畑の広がる風景は、
日本人にとっての茶畑のようなドイツ人にとっての心の原風景なのかもしれない、
とマルクト広場のワインスタンドでグラスに注がれた輝く黄金色のワインを片手に、
和やかな時間を過ごすドイツ人の旅行者たちを見ながら思った。
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