暖かいクロアチアにも少しずつ秋は近づく。
ふと目をやれば、ザグレブの街中でもツタが赤く染まってくるのが目に留まり始める。
もうそろそろかと思い、秋になったら行きたいとかねてより計画していた、
ザグレブからバスで2時間半ほどの場所にあるプリトヴィッツェ湖群国立公園へ出かけた。
世界自然遺産に登録されている国立公園で、最近ではアジアでも知名度が高く、
最盛期は大変な混雑になるそうである。
世界中からの観光客で船着き場は賑わっていた。
場内は入園料で船やバスを自由に乗り継ぐことができる。
個人的にはバスも船も国立公園にとても合ったつくりをしていて
(船はエンジン音がほとんどせず、水面もほとんど波立たない、
バスは天候に左右されず乗りやすい作りをしている等。)、
とても感心した。
紅葉の具合は思ったよりもすすんでいなかったのだけれど、
いくつかのポイントでは写真のような紅葉と森と湖との図を切り取ることができた。
増水のため、いくつか通れない道もあったけれど、見たい構図はたっぷり楽しめた。
今回利用したのは行きがザグレブ8時40分発、帰りがプリトヴィッツェ16時45分発のバス。
これで多少端折りながらも、体力のある人ならば十分に満喫できると思う。
昼食はバスターミナルで確保がおすすめとされることが多いが、
園内のセルフサービス式レストランは料金も手ごろで、
日本人の口にも合う料理が楽しめる。
この日は暑かったので、レモンの入ったOzujskoのラドラーがとても美味しかった。
透き通るような水の中に泳ぐ、たくさんの魚の群れも見ることができる。
ただし、本来いるべきマスはわずかで、ほとんどはコイの仲間だ。
もちろん禁止はされているのだがエサをやっているビジターも多く、
それが要因の一つでもありそうだ。
エサやりはにほんの文化だとばかり思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
世界自然遺産にはユネスコが定める4つの登録基準があるが、
プリトヴィッツェ湖群国立公園は、そのうち以下の3つが評価根拠となっている
(UNESCO World Heritge Centre : http://whc.unesco.org/en/criteria/)。
(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の
発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれ
る。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重
要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
かみくだけば、
(7)自然美と景観美が素晴らしい
(8)地球の成り立ちを示すものがある
(9)豊かな生態系ネットワークの存在してる
といった感じだろう。
それを頭に入れて改めてこの公園を見るのもまた興味深い。
でも、私にとっては初めて歩いたときの自分の感覚が、いつだってその場所の評価基準だ。
一番は、一年を通してまた来て見てみたいと思える場所かどうか。
そして、間違いなくここも、また違う光に包まれた瞬間を見てみたいと思える場所だった。
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追記。
ちなみに、もうひとつの基準は、
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいる
もの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れ
のある種の生息地などが含まれる。
つまり、
(10)希少種が存在している
ということ。
また、日本の自然遺産はそれぞれ、
白神山地では(9)、知床では(9)(10)、屋久島では(7)(9)、小笠原諸島では(9)
が評価根拠になっている。