中央ヨーロッパではキリスト教のイースターのお祭りごろから春の訪れを感じるようになる。
スノードロップ、スプリング・スノーフレーク、クロッカスから始まり、
日本では園芸植物となっているような野草が草原で一斉に芽吹く様子は、
特に自然相手の仕事をしていた私にとっては圧巻でしかない。
一方で、それまで短かった日照時間が急激に長くなり、慣れない私はこの時期は頭痛に悩まされる。
"Migräne"は和訳では単純に"偏頭痛"なのだけれど、ヨーロッパ地域の人いわく、かなり気候の要因が関係しているらしい。
実際、私も元来の頭痛持ちではないので、こちらの気象には疎いけれど、今のところはその推測はあながち間違いではないと信じている。
話は戻って、イースターは芽吹く小枝に卵のモチーフとうさぎがシンボルになる。
イースター休暇は人々はクリスマス同様、家族のもとで過ごすことが多いようだ。
天気が良ければ、みんなそろってハイキングに繰り出す。
でも、ここはやはりドイツ。
みんな集合したら出発前にまずゼクトで乾杯。
ほろ酔いになってきたところで、舌も滑らかにお喋りしながら出発。
途中の休憩はもちろんイースターのうさぎのチョコレートと大人にはリキュール。
私が気にいったのは卵黄とクリームで作られているEierlikör(アイアーリキュール)。
日本で言うならば玉子酒。ワッフルコーンに注いで、それごと食べる。
カスタードクリームにアルコールが入ったような印象。
この日のハイキングは老若男女総勢13人で距離は8km。
以前は一日中歩いていたらしい。
今は以前ほど近くなくなった親戚関係なのだそうだが、こうした年数回の交流で近況報告をしながら、お金だけではない助け合いができる関係を築くことが出来ているのではないかと思う、
と一緒に歩いてくれた60代半ばの人柄のうかがえる朗らかな笑顔の男性は話してくれた。
以前イスラムの友人と話していたとき、ドイツ人は交友関係が表面的で全てお金と書類でしか解決しない、と嘆いていた。
イスラム文化は私からすれば驚くほど親切な、逆に言えば私には距離感が少しつかみにくい、"密接な人間関係によってつくられる社会"だと思う。
文化の発展によって人間関係の価値観は変わってしまうものなのだろうか、と時々思うことがある。
でも、先の男性が言ったような積極的に関係を維持する努力、あるいは自発的なそういう感情。
結局、どんな人間にとってもその価値観はそれほど変わらないのではないのではないかなという楽観と願い。